2010年03月31日

住民訴訟と権利放棄

さて今日は都内で「住民訴訟の賠償請求判決と議会・市長・職員」というセミナーを受講してきました。

法律分野の専門的な内容で理解するのが難しいセミナーでした。しかし、地方自治や民主主義の根幹にかかわる問題であり、たいへん興味深いテーマでした。

以下内容をまとめますが司法・法律の用語はわからないので、言葉の使い方に間違いがあるかもしれませんがご了承ください。

昨年の12月に神戸市で外郭団体に派遣していた市職員の給与を条例の根拠なく補助金という形式で実質的に支給していたことについて、外郭団体と市長に対し返還を求める住民訴訟が起こされ、神戸地裁で違法という判決が出され48億円を返還すべきとしていました。

この判決は大阪高裁でも認められ、最高裁では不受理となりました。よって神戸市は市長や外郭団体に対して48億円を返還する賠償請求権があることが確定したことになります。

地方公共団体は何かしらの損害を受けた場合に損害賠償請求をすることができます。たとえば市長が職務の中で不正な支出を行った場合に、地方公共団体(上の例であれば神戸市)は市長に対して損害賠償を請求することができるのです。

しかし、市長と市は当然一体のものでありますから実質的に賠償請求をすることはほとんど考えられないわけです。

そこで住民訴訟という制度で住民が司法を介在させて司法から地方公共団体に対して損害賠償をするよう義務付ける訴えを起こすことができます。

ところが、今回、神戸市の訴訟で問題となったことというのは、神戸市の市長に対するの損害賠償請求“権”を議会の議決によって放棄してしまったのです。

しかも、地裁の判決後にです。

地方自治法では権利の放棄については議会の議決が必要です。実際、千葉市も債権放棄など議会で議決されいます。

裁判の途中で議会が権利放棄を可決したとなると、地方公共団体の賠償請求権そのものが消滅するのですから、請求権の行使をさせるための住民訴訟そのものが成立しなくなります。

したがって、議会の議決は地方自治法で認められたものではあるが、係争中に議決するということは住民訴訟そのものを無力化するもので、「議決権の濫用」ではないかということが問題になります。

これまでは、議会も住民から直接選ばれた代表者であるから、権利の放棄は地方自治法に規定された議決でもあるため「議決権の濫用」とまでは言えないとされていたのですが、今回はついに高裁は「濫用」であるとしたのです。

したがって、神戸市の議会の議決が効力を生じないものとなりました。

住民訴訟も議会も民主主義と地方自治の根幹にかかわる重要な制度ですが、両方の制度が真に住民のための制度としてどうあるべきかを考えさせられる問題です。

また、地方自治体が地方分権の中で「法治主義」が徹底されてないこともよくわかりました。

千葉市でも先の定例会では付属機関を条例設置としましたが、これもそのひとつの事例です。
posted by 鈴木友音 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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